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2010年5月19日 (水)

シナノキ谷から広高山・冠山へ(突撃編)

Sinanoki26  平成22年5月14日、予定通り二日酔いだったので妻に乗せてもらって集合場所にデポしてもらう。先着のY氏と雑談をしていると、一台の車がやってきて出てきた若い娘がいきなりこう言った。

「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」

「??????」とY氏と顔を見合わせる。…誰がこんな若い娘を連れてくるの?

「あの~違うんじゃないの?」

「山の格好をしていらっしゃったので、てっきりあなた方かと…今日は初対面の方なので、顔が分からなくて…」

「あっちに別のグループがいるから、そっちじゃないの?」

「失礼しました…」

 そのグループのリーダーと話をしてみると、小五郎山の金山谷ルートから上がって、向垰に降りるらしい。Y氏と、

「T隊長がまだだから、隊長の替わりにあの娘を乗せていきましょうか。ただし、こっちは半分ぐらいは道はないけど…誘ったらついてくるかな?」と冗談を言う。

そのうちに、Iクマ対策特殊部隊長とT隊長がやってきたので、さっきの話をしながらI部隊長の愛車に乗り込む。久し振りの山行なので、お互いの装備について話が盛り上がった。

T隊長は、車と靴、ストーブが新しくなっていた。服装は昔のままだが、手首には高度計を備えたプロトレックが光っていた。でも昼飯は相変わらず日清焼そばの大盛り。

I特殊部隊長は、すっかり新しいものばかり。まず、愛車のハリアーは二代目で、純正ナビにはバックとサイドモニター付きの優れもの。おまけに、ザックも靴も服装も新しいものになっていた。一同、「退職金で揃えましたね」とうらやむ。

Y氏は、相変わらずしっかりとした装備に身を固めている。

ボクは、靴のソールを貼り替えたのと、ズボンが新しくなったぐらい。二人が、ボクのクマよけ鈴を見て、「その音を聴くと、あの頃を思い出すのよねぇ…」と懐しそうに話す。

そうこうするうちに吉和IC。廿日市市役所の吉和支所に寄って、当直の人から小川林道の鍵を借りようとしたら、まず利用上の注意の説明が始まった。…ここの鍵は予約制ではなく、当日にしか渡さないこと。所有者が多岐にわたっているのでむやみに立ち入らないこと。植物採取は厳禁であること。今日中に鍵を返すこと…など細かい説明を受けて、用紙に記入してようやく鍵を受け取った。

「あの鍵は一体いくつあるのかな?」と話しながら、国道488号に入り、やがて小川林道入り口に着いた。柵の鍵は解錠されていたのでそのまま林道に入る。測量の人や渓流釣りのグループを見かけた。

「みんな鍵をもっているのかなぁ?」

「帰るときにはそれぞれが閉めるのかな」

「ボクたちが奥へ入っていくのを見ているから、帰るときどうするのかな」

「鍵を持ってますか?…って聞かれなかったけど、自分たちが帰るときには、ボクたちのことを気にせずに鍵をかけちゃうのかな」

と言っているうちに、シナノキ谷と林道終点方面の分岐に着いた。

 午前9時10分。支度をしてまずは記念写真。

さあ出発するか! 」と言いながら、4人組は、クマよけ鈴を「カランコロン」、「チリリン」とならしながら奥へ伸びている林道を歩き出した。

 シナノキ谷へ向かう林道はだいぶ奥まで伸びていたが、かなり荒れていた。終点広場から沢に降り立つと、周囲にはトチを中心とした森が広がっている。

突撃隊の3人は、

「この感じですねえ。昔を思い出しますねえ…」

「いいねえ…やっぱりこれですなぁ…」

「これですよ、これ!」と周囲を見渡す。Y氏は、じっくり植生調査をしている。

 登山道はなく踏み跡もほとんどない。ところどころテープがついているが、かなり古い。おそらく10年以上前のものだろう。沢はそれほど荒れておらず、何度も徒渉を繰り返しながら奥へ詰めていく。

トチの巨木の中にカツラの古木も散在し、まさにボクたちが求めている西中国山地が広がっている。

「ええですのう…」

「たまりませんねぇ…」

「来てよかったですね。Hさんがおられたらいっぱい木の話が聞けたのに…残念ですねぇ」

Sinanoki23_2

 そうこうするうちに少し手強そうな滝が現れた。 「左を巻いてみましょうか」と言いながら急斜面に取り付いたが、滝を覗いてみると、右側に登れそうな岩溝があったので、戻ってそちらに取り付いてみると何とか滝の上部まで這い上がることが出来た。

「我々の力ではこれが限度ですねえ」

「そうだね…これ以上はきちんとロープで確保しないとダメだな」

 Y氏が主宰する山岳会はロープワークも実践しているので、Y氏にとっては物足りないだろうが、素人に毛が生えた程度のヤブ山突撃隊としてはこれがギリギリだ。

 今回は、晴天に恵まれて岩場が濡れていなかったので登山靴でそのまま登ったが、もし濡れていたら、ロープ確保するか左を大きく高巻くしかないだろう。

Sinanoki22_2

 滝を越えると、沢の周囲はなだらかになってきた。Y氏が、「そろそろ稜線が近づいてきたので、このまま詰めるよりも適当な所で県境尾根に上がりましょう」と促す。

Sinanoki21_2

「そうですね…ぼちぼち上がりましょうか」と言いながら、右の稜線を目指して斜面に取り付いた。体を引き上げながら、周囲の森を眺めると、ブナの巨木がいくつも残っていた。

Sinanoki20 

稜線に出ると、尾根が痩せてきて、先人の踏み跡が確認できるようになった。展望も開けて、東の避け岩や大神が岳、 立岩山が目の前に現れた。

「この谷が広高谷か…」

「例のワサビ田開発以来、広高谷に行く気がしなくなったからなぁ…」

「残念ですねぇ…東の避け岩から広高谷に降りた沢の雰囲気がよかったけど、あれもなくなったんですかねぇ」と昔を懐かしむ。

Sinanoki18_2

 この稜線は意外に長かったが勾配は大したことはなく、そのうち広高山山頂への踏み跡とボーギノキビレに向かう分岐に到達した

「こっちは広高谷から上がってくる道だけど、ずいぶん踏み跡が薄くなっていますね」

「さっきの話のとおり、広高谷を上がってくる人がいなくなったのじゃないかな」

「これじゃ迷いますね」

「こっちのボーギノキビレに下るルートも、すっかり踏み跡が薄くなってますね。冠・寂地の縦走路からここに来る人も少なくなっているんでしょうね」

5分で広高山の山頂。その道もかなり荒れていた。冠山を右に見ながら、殺風景な山頂に着いた。目の前には東の避け岩と大神か岳と立岩山のシンボルが見える。しかし、この山頂にはくつろげるようなスペースはない。笹と木が茂っただけだ。

「展望はいいが、それにしてもこの山頂は相変わらず寂しいのう…」

「飯はさっきの分岐にしますか」

さっきの分岐まで戻ったが、杉の小枝だらけなのでT隊長のストーブの火が引火する怖れがあったので、ボーギノキビレまで下がることにした。薄い踏み跡の中、2つの小さなピークを越えて懐かしのキビレへ。

「おお、ボーギノキビレ!懐かしいなあ…」

「あれ、ボクたちが以前這い上がってきた谷からの踏み跡がしっかり付いているぞ!」

「わざわざあのぐちゃぐちゃコースを歩いた人がいるんですか?」

「やっぱり滅多なことでは奮戦記は書いてはいけませんねぇ…」

 ボーギノキビレは、冠・寂地山の縦走路から広高山へ向かうコースと、小川源流に向かうコースと、今話をしていたコースの十字路である。

「とりあえずメシにしましょう」

 T隊長がイワタニプリムスのストーブを取り出したが、コッヘルは昔のアルミのまま。

「ますます使い込んで風格が出てきました」

「これがいいのよ。金がないから買えないだけだけど…」

 メシを終えると、東の小川源流コースへ向かう。 この踏み跡も心なしか薄い。やがて源流の左岸にあるT字路に出た。小川林道終点からの登山道である。しかし、ここも杉の小枝が散乱して、踏み跡が分かりにくくなっている。

「知らない人が来たら、ここがT字路だということが分からないんじゃないかな」

「あちこちにテープがあるだけで、標識がないから、こっちにボーギノキビレがあることが分からないんじゃないかな」

 ここから小川源流の最深部の景観を楽しみながら遡上する。何度歩いてもこの付近の沢と森はすばらしい。この沢歩きも何度も徒渉を繰り返すが、ここの踏み跡はかなり明確に残っていた。小川源流端の朽ちた木柱を眺めながら、Y氏が、「冠山からの帰りはここに直接降りてみませんか。途中にいいブナ林があるらしいですよ」という提案があり、一同納得。

Sinanoki16

正規の登山道に合流して冠山山頂へ。

展望地の手前で、「この崖を這い上がってきたんですよね」

「ちょうどこのあたりかな?」

「うん、そうそう。弁当を食べていた女の子がびっくりしていたよね」

「崖下からいきなりおっさんが三人這い上がって来たんだから…目がテンになってたよね」

 ゆっくりと山頂からの展望を楽しんで、山頂を後にする。

Sinanoki17_2

 山頂から少し下がった地点から西斜面に分け入った。笹はそれほど伸びておらず、噂どおりのブナ林が広がっていた。

Sinanoki15_2

 4人が周囲を眺めながらなだらかな斜面を下ると、源流端から少し下がった地点に降り立った。

「いい森でしたね」

「ホントに来てよかった」

「みんなちゃんと歩けますね」

「よし!これならまだまだ大丈夫だ」

と気合いを入れて、再び小川源流を下る。林道歩きは長かったが、周囲の森がきれいなので快適そのものだ。今下ってきた冠山が実に威風堂々としている。

Sinanoki14_2

 やがて分岐が近づいてくると、Iさんのハリアーがちゃんと迎えてくれた。

…こうしてヤブ山突撃隊の還暦リハビリ突撃は成功した。そして、これから匹見の三葛で泊まることになるのだが、このあたりからいよいよヤブ山突撃隊らしい事件?が起こるのである。(番外編へ続く…が、あまり期待しないでください)

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コメント

とりあえず突撃編をアップしたが、写真の操作がよくわからない。写真とテキストが重なっているのだろう。粘り強くがんばったが、いくら諭してもいうことをきかないのでこれにて脱稿する。どうもこれでは長続きせぬような気がしてならぬ。すみません。

デジカメの解像度が上がったのか、以前よりきれいにみえます


>とりあえず突撃編をアップしたが、写真の操作がよくわからない。

http://cocolog.kaiketsu.nifty.com/faqs/17305/thread
「ページ表示画像サイズ」を「本分の幅にあわせて表示」にするといいと思います。

何とか写真も貼りつきました。はちべえどのありがとうございました。

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