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2013年5月28日 (火)

位牌の中

梅雨に入って喜びたいところだが、昨日、ブログが書けなかった理由を付しておく。


晩酌を終えた頃、関東地方に住む従叔母から電話が入ってきた。
母親…つまりボクから見ると叔祖母が亡くなったという連絡だった。
親族親等表を見ると四親等になる。

祖父兄弟の末っ子で、利発でしゃきっとした従叔母だった。
祖父一族に色々あった中で、従叔母にはずっとヤブ山家のことを気遣ってもらった恩人である。
数年前まで隣市に夫婦で住んでいたのだが、関東に住む一人娘夫婦に引き取られていた。

遠隔地でもあるし身内だけの密葬にすると決めていたそうだが、従叔母が生前、本家だけには連絡しておくようにと言われていたそうだ。
ボクもその言葉に甘えて、弔電と香典を届けることで失礼することにした。

その時に聞かれたのが、
「お寺さんから、『戒名をどういたしましょうか?』と尋ねられたので、祖母の院号というか…戒名が分からないかしら?母も祖母と同じ格の戒名にしてあげようと思うんだけど、こちらには何もないし…」
ということだった。

ボクから見れば曾祖母の戒名である。
お寺に行って過去帳を調べればわかるだろうが、どうも急施を要するようなので、仏壇の引き出しをあちこち探してみたが、家系図らしきものは見当たらない。
母がむかし、「家系図を作ってもらった」と言っていた記憶が何となくあるのだが、みつからない。

はたと考え込んでいると、位牌が目にとまった。
「あの中だ!」

父が亡くなった時に、住職が先祖代々の位牌をまとめて入れる位牌を作ってくれていたのだ。
日頃は『ヤブ山家先祖代々』と彫られた黒檀の位牌を表にしているのだが、先日の父の法要の際に、母の指図で、父の位牌をいちばん表にしていたのだ。

早速、位牌の上蓋をあけて調べてみると、白木の位牌が10数枚入っていた。
ところが戒名だけしか書いてないので、どれが誰のものなのか分からない。

「ダメだ!分からん!」と言いながら考え込んでいると、鬼嫁が、
「裏を見た?」
とつぶやきながら仏間にやってきた。


「??…あった!」
位牌の裏には、俗名と死亡年月日が記されていたのである。

曾祖母の名前は、相続時の戸籍謄本を引っ張り出して調べておいた。
すぐに戒名をメモして、従叔母に電話した。

先祖の位牌以外に、予備と思われるものが2枚。
白木のものと、父の位牌と同じ黒檀が一体ずつ。
これ以上は入らない。

ボクはあと2年で亡くなった父と同じ歳になる。
母は82歳で人工透析と認知症を患っている。
鬼嫁はボクより一つ下。


…何だかあの世を覗き込んでいるような気がしてきたので、『ヤブ山家先祖代々』を表にして、元のように、父の位牌、祖父母、曾祖父母…、最後に無垢の白木と黒檀の牌を入れて…静かに蓋を閉じた。


従叔母は母にとっていちばんの相談相手だった。

だから母にはまだ告げずにいる。

もう一度酒をくらうしか、やり場がないのだ。


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