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2013年11月17日 (日)

十方山(坂根谷<左谷>から奥三ツ倉経由で那須)その2

トチの巨木を眺めながら一服して、気を取り直して沢を上がる。

相変わらずルートを探しながら右へ左へ移動しながら少しづつ上がる。


「ほほ~これか!」
「なるほど…」
「すごいね」
…ナメ滝である。

「これですか…」

011


写真で見ると傾斜が分からないが、山歩きをする人なら即座に危険を感じる勾配である。


「さて…どう越えますか」
見事に濡れたナメである。
特に右岸は切り立った岩場だから、登山靴では滑落必至だ。

「左岸を行くしかないね」
と相談して、慎重にルートを探しながら左岸を巻いた。


012


ナメ滝を越えて一息つく。
「もう戻れませんね」
「これを下るのは狂気の沙汰」
「あの山歩きさんはこれを下ったの?信じられん」

…などと話をしていると、上流に白いものが見え隠れしている。
「いよいよ滝かな?」


でもナメ状態の沢床は気が抜けない。
慎重に…慎重に沢を詰める。

013

岩や渓流を越えていくと、猛烈なガレ場…というか岩が大崩落していた。
見上げると右岸がごっそり崩落して切り立った岩が谷を埋め尽くしているのだ。

「おお!!二段の滝が見えたぞ!」

「あれだ! すごい!」

015


ザレた岩場に上がってしばらく滝を眺めた。

ぼっちさんが、
「虹がかかっている…」
と呟いた。

よく見ると、下段の滝の中央部にうっすら虹がかかっていた。

「ええのう…きれいじゃのう」
「ボクのデジカメで写るかな?」

その横ではY代表が一眼レフで撮影していた。
…ボクのはダメだったが、Y代表のカメラには写っていたのだろうか?


ここでルート選定会議。
「二段の滝を高巻いて上がっても、右の谷の最後は崖だろう」
「左谷はこの有様。ザレた岩場の上がどうなっているか…落石がどうかな」
「とりあえず左の谷を上がってみよう!」

岩は左の谷を埋め尽くしていた。
崩落してから数年しか経っていないようで、割れた岩の色は新しく、どの角も鋭く尖っている。

しかも…イバラが猛烈にはびこっている。

ボクは直登で上がろうとしたが、最後にホールドが見つからずに撤退。
…結局、ほかのみんなと同じように少し横に逃げながらザレ場を這い上がった。

017

ガレ場を抜けると、そこには静かな谷が待っていた。

これが西中国山地である。

これを見るために…何度も何度も苦しい想いをしながら登っている。

素晴らしい。

018


「ええですね…」
「静かですね…」

「腹減ったから…ここで飯にしましょう」
と大休止。

「まだ1000…あと300」
「今からが勝負ですな…」
「今はササが薄いけど…奥三ツ倉のササやぶはすごかった」

ここで、Y代表が、
「今ごろ大藪が…『はよう来い!』と待っているんでしょうねぇ…」
と呟いたので一同大笑いになった。(でもすぐに…そうなる)


さて、いよいよ稜線への突撃だ。


020


ササに覆われてきれいに見えるが、ササの下はガレ場なので歩きにくい。
木やササをつかんでは、ぜーぜーと荒い息を吐きながらゆっくり高度を稼ぐ。

いよいよヤブが濃くなってきた。
前を行くボッチさんの姿も隠れてしまった。
あとは みんな 黙々と ヤブを漕ぐ。

T隊長が途中で…一句。

「分け入っても 分け入っても ヤブ…」


021


この画像を最後にして、稜線に這い上がるまで写真はない。
ヤブを撮るどころか、カメラを取り出す気力もなかった。


T隊長の名句を褒める声もなく、みんなササヤブの中でへたり込む。

昼食時のY代表の予言は…やっぱり当たった。

みんな…、
「方向が少々ずれても、一秒でも早く、ヤブの薄いところで縦走路に出たい!」
と思っている。


この辺になると冗談を思う余裕もない。

ぐちゃぐちゃにササが倒れ込み、その中に灌木が潜んで行く手を阻む。

静かな谷に、ササをこぐ音と激しい息づかいが響く。

2分おきにヤブの中で休む。


「あれが稜線ならいいけど」

「甘いかも」


…とわめきながら這い上がったが、そこは1215ピークの支尾根だった。


「支尾根に踏み跡なし!」

「誰も歩かんのか!」

主稜線上まで上がったはずだが、ぐちゃぐちゃのササやぶをいくら漕いでも縦走路に出ない。

声も出なくなった頃、大岩がいくつか見えてきた。

無心でヤブをかき分けていたら、ようやく縦走路に出た。

先頭でヤブを漕ぎ続けたぼっち特攻隊長も、さすがに疲れ果てていた。
(ホントのヤブ漕ぎは…突破する者に猛烈な負荷がかかる。ラッセルと同じです)

「ふぅ~出ました」

「………」

「疲れた」

「足がつりそう…」

「ぼっちさん…お疲れ…」


周囲を見ると、奥三ツ倉の標識のすぐそばに這い上がっていた。

022


「これで坂根谷の右と左を這い上がりました。胸のつかえが下りました」

「だいたい…歩いたね」

少し休んで快適な縦走路を一気に下る。

023

中三ツ倉で内黒峠ルートをみたが、かなり踏まれていた。
それに比べて那須ルートは歩く人は少ないようだ。
藤十郎も一気に通過する。

トウジュウロウ谷は美しかった。


029


やがてウラオレ谷の分岐。
ここから植林地内を一気に下ると林道奥に飛び出した。

「やりました」

「頑張りました」

「このくらいが限度かもね」

「もう歳だし…」

「いやいや、まだまだ」
と言いながら那須集落に着いた。


031


たぶん…今回の左谷がボクたちの限界だろう。

これ以上になると、沢登りの完全装備が必要だ。

Y代表やぼっちさんは、「いざ」というときの装備は用意してくれていたが、ボクとしては、これ以上沢にのめり込むと抜けられなくなりそうなので、次の突撃の対象は少し趣向を変えるつもりだ。


今回も助っ人二人のおかげで、ヤブ山突撃隊は無事ヤブ漕ぎを終えることができた。

なお、もう一人の助っ人…『バイオギア』であるが、這い上がるときには特に何も感じなかったが、縦走路を下るときに膝への負担が少ないことに気がついた。


ブログを書いている今でも、いつもよりも筋肉痛が和らいでいるような気がする。
だから…これからはいつも連れていくことにした。


最後に、よい子のおじさんたちは、軽い気持ちで左谷に入らないでくださいね。
行くときは気合を入れて、足手まといになりそうな人は決して同伴しないようにしましょう。


それにしても歴史に残る突撃だった。

おしまい。
…行かない方がいいよ。

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コメント

ファンのクマ対策部長の活躍が載っていないのですが?

今日は朝から2時間、裏山の竹とツルを切っていたら雨模様になった。
さすがに昼にビールを呑む元気もなく、昼から昨日の奮戦記を書いたが素面の文章は面白くない。
夕方からチビチビやりながら推敲した。
いまいち面白くないが、そろそろ眠たくなってきたので…おしまい。
こうして見返すと…いい突撃だった。
やっぱり西中国山地はいいですなぁ…。

▼はちべえどの
酔いたんぼに…無慈悲なリクエストを…。
Iさんは優しい人なので許してくれます。
もう書けません。
もう一度、周南山の会の掲示板を覗きます。
…ホントにおやすみなさい。

ヤブ山様
地形図を見ただけで逃げ出したくなるような奥深いところですね。
自分は、この日は、湯来の方で自然観察会がありました。
どういうわけか講師をする羽目になってしまったものですから
「ワヤクチャな突撃には参加できず残念だなあ。」と思っていたが、
今では、参加できなくて良かったと内心思っている。
凄まじさがレポートを通して伝わってくるもんですから。


▼山歩きと山野草さん
ひょっとして来られるかも?と思っておりました。
が、大変でした。
気の知れた仲間でないと、あんな谷は登れません。
自分のことで精一杯ですから。

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