2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

« さん | トップページ | 伝統と定理 »

2013年12月24日 (火)

おじさんはえらい

金曜日は最後の忘年会だった。

少人数だったので飲みすぎたが、なんとか8時台の電車に乗ることができた。

新山口駅では30分近くの待ち合わせだが、電車がホームに止まっているので乗り込んで爆睡…。
気がついたらトンネルの中だった。
…ということは戸田駅の手前。

ようやく目も覚めてきた。

車内はガラガラで、ボックス席にぽつりぽつりと座っている程度だった。
徳山駅の構内に入ると、ホームには大勢の乗客で大混雑。
忘年会シーズンの花の金曜日だからひどい人出だ。

がやがやと大勢の人が乗り込んできた。

ボクの隣に若いサラリーマン風の男が座った。
同時に、前の席の真ん中に30歳前後の…おばちゃんになりかけのおねえさんがドカッと座り込んだ。

手提げバッグからスマホを取り出して何やらいじっていたが、急に前屈みになって動かなくなった。
…寝ていた。


ところが櫛ヶ浜駅を出発したとたんにガバッと顔をあげて、窓に顔を近づけてじっと外を眺め始めた。

急にボクのほうに顔を向けると、
「ここは どこ れちゅか?」

「櫛ヶ浜を出たところ」
「そうれちゅか…」
と呟くと窓に頭を寄せて再び爆睡モードへ。


障害のあるおねえちゃんかとも思ったが、OL風の身なりで、きれいに化粧もしている。
酔っ払って、ろれつの回らなくなったおねえちゃんのようだ。


『このまま爆睡しても乗客は多いので放っておこう…』
と関わり合いになるまいと思っていたら、下松駅を出発したとたんに再びバガッと起きて、
「ここは ろこれちゅか?」

「次は光駅」
「はい ありかとう ごひゃいまひゅ」
と言いながら目を閉じた。


『このおねえさんは、どうしてボクにばかり聞くのだろう?』
と思いながら横目で隣の男を見た。

目は開けていたが視線は外している。


すると突然、おねえさんが、

「あにょう しまら で おこしゅてもらへませんきゃ」
と寝ぼけまなこで頼んできた。


「島田? 悪いけど光駅で降りるから」
「ふぅ~…… そのとひに おこしゅて くらひゃい」
「はいはい」


『ボクがよっぽど優しいおじさんに見えるか、それともすぐに鼻の下を伸ばすすけべなおっさんと思っているのかな』
と自分に問うてみた。

横目で隣の男を見たが、相変わらず視線を車両の中央付近にそらしたままだった。
『こいつ 関わらないようにしているな』
と直感した。

通路にも沢山の人が立っているのだが、みんな視線を他所に向けたり、話をしながら無関心を装っている。


そのうち光駅の構内に入ったので、おねえちゃんの腕をちょっと突いたらガバッと起きた。

「光駅! 次が島田!」
と言いながら、隣の男に、
「島田駅で起こしてあげたら?」
と告げながら席を立ったが、明らかに困惑した表情を浮かべていた。


そのままドア付近に進んでいると、後ろから大きな声がした。

「ありか ひょ~こしゃいまちゅた! らいひょうふ で~ちゅ」

と、あのおねえちゃんが、座席の上に顔を出してボクに向かって手を振っていた。


一瞬躊躇したが、ニコッ?として手を振ってあげた。


改札を抜けて駅を出たら、フロントガラス越しに鬼嫁の無表情な顔が見えた。


『おいおい…次はこいつが…相手かい…』
と、真面目で親切でお人好しで慈悲深い妻思いのおじさんは呟いたのでした。
おしまい。

« さん | トップページ | 伝統と定理 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/545713/58814117

この記事へのトラックバック一覧です: おじさんはえらい:

« さん | トップページ | 伝統と定理 »